夜分おそれいります、百均友の会のondです。はいちゃさんで診察を受けていたら、口の中をみていたお医者さんが急に席をはずしたんです。私がすわっている診察台の背後で、ほかの人となにかコソコソ話しあっているみたいでした。なにか患者に聞かれてはまずい話なんでしょうか。おそるおそる聞き耳を立てました。
「院長、おんださんなんですが、1本だけカリエスがあるようです」
「うむ…それは告知しといたほうがええんちゃうか」
こっ、告知ーーーー?!! その瞬間、戦慄が走りました。これから私はどんな絶望的な宣告を受けるというのでしょう。というか、いつの間に私の体はそんな深刻な病に、いやさ病魔に冒されていたというのでしょう。しょせんは歯のことだから命に関わるようなものにはならない、と高をくくっていたしっぺ返しをくったんでしょうか。そもそも私の病気とは何なのか。カリエスって聞こえた気がしますがそれが病名なんでしょうか。そういえば脊椎カリエスなら知っていますが、たしかあれってものすごく重い病気じゃなかったですっけ。そんなものが口の中にもできるのかとか、自分が本当にそんな重症になっていたのかとか、にわかには信じられないことばかりで頭が混乱してきました。それと同時に激しい恐怖が襲いかかります。もしかして私の生い先はもう長くないんでしょうか。家族一同呼ばれて余命何か月とか宣言されてしまうんでしょうか。病院のベッドから見える枯れ木の最後の一枚の葉っぱが落ちるのを待つだけの日々なんでしょうか。ずっと想いを寄せていたあの人に自分の気持ちを伝えられないまま私はこの世を去らなければならないんでしょうか。などと、すっかり悲しみにくれているところにお医者さんが戻ってきました。そしておもむろにこう言いました。
「おんださん、虫歯できてますよ」
……へっ? ひょっとして、カリエスって虫歯のこと?? な、なーんだあー。まったくびっくりさせちゃってくれるんだからー。ちょっといろんなことが走馬灯のようによぎっちゃったじゃんよー。そもそも院長先生が思わせぶりに告知とか言うから誤解しちゃったじゃないのー。しかもそんなひそひそ話で言われたら誰だってびびるっつうかさー。不安をかきむしられるに決まってますってばー。ねえ、そう思いませんか。時代はインフォームドコンセントですよ!<さっきから自分の無知を棚にあげまくってるよこの人
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