鏡のような大地でした。一面に水田が広がっていたのですが稲の生育はまだ控えめで、敷きつめるように張られた水面には、農村の集落や、遠くの山々が映し出されていました。私も片田舎の生まれなので、こうした風景に出くわすと思わず心がほぐれます。
ふと、小学校の図工の授業を思い出しました。学校近くの水田の風景を描いていたのですが、週ごとにだんだん稲がそだってくるのね。やべえ、景色変わっちゃってるよ。だからそのたび水面の水色を葉っぱの緑色に塗りかえなくちゃならなくなって。変化するものを絵にするのはむずかしいなと。それでこりたはずなのに、中学校の美術の授業でまたやっちまいました。こんどは植物ではないんですが。屋上から校舎の風景を描いていたのですが、途中からなんか工事がはじまって、しまいには玄関の前に自転車通学の生徒のための駐輪場ができてしまいました。もう絵もなかばできあがっていたというのに、これを書きたせと言うのか――私は世の不条理を知りました。まあそれはさておき。
バスを待っているとどこからともなく、夕刻を告げるチャイムが聞こえてきました。大時計を見上げるとまだ3分前です。時計の時刻がずれているのかな、とそのときは深く考えなかったのですが、チャイムの音はそれからしばらく鳴りつづけました。この世界の片隅で結ばれたふたりのあらたな幸せを祝福するかのような、小さなチャペルでの淡い希望に満ちた光景を思わせるジングルがメロディーを奏でます。しばらく聞きほれていた私、演奏が止まったことに気づいてふたたび大時計を見上げると時刻はちょうど正時。なるほど、そういうことだったのか。
そんな一日でした。アップルチーズのパンおいしかったです。
note
Threads
このブログを検索
ラベル
ブログ アーカイブ
-
▼
2003
(285)
-
▼
6月
(26)
- あばたも西荻窪
- 気がもめるよね
- 愛宕山と愛宕信仰
- あんぱんわはー
- an Italy in France
- 思い焦がれるアプリ
- 愛・煮汁
- 憧れはいつもクールなBoys&Girls
- ボクサーえびえび
- 嘘を言うときには、ほんの少し真実を混ぜるといい
- 土曜は早く寝る
- 教理単体で爪はじき
- 二人が入る 一人が出る
- たまたま同じ木陰に立ち寄った旅人
- 深呼吸しながらお飲みください
- パニエは危険な香り
- さらっと生きる
- 股間にムース
- like lips like lettuce
- 何度も書いて消して
- 「あなたしかいないし」?
- 花組コラムス
- 昼も夜も 宇宙も
- 青ざめかけた騎士たち
- リントブルムも舌を巻く
- 週刊100人に聞きました
-
▼
6月
(26)
0 件のコメント: