ロイエンタール魔法石版

2002/11/18

むかしのひび

先日プレゼントをいただきました。いえプレゼントと呼んでいいものかどうか微妙なのですが、まあ自分でそう解釈することにします。ちょっとしたものを人にあげたりもらったりする、ささいなことのようで実はすごくおおきな意味があったりして、そういうことにいつも心を動かされてみたりします。ほんとうは物品そのものよりも気持ちのほうが大切だしうれしいというのは言うまでもないことですけれど、手元に置いておけるということでそのときのあたたかい気持ちをより長くもっていられるんではないかと。…かたやジレンマは日々複雑になってきています。
さて、日記に時事ネタはあまり取り上げたくないondですがこのところあまりにも目にあまるもので。なにがって関係各所やマスコミによる田中さんいじりがつづいていることです。たしかにたいへん名誉なことですので注目したがるのも無理はないのでしょうが、表彰だの叙勲だので持ち上げるだけ持ち上げてみたり、遠慮したり困った顔を見せればそれがまた魅力だとおだてたり、そのときの反応を見てさらにおもしろがって楽しんでいるようにしか思えません。当人はあきらかにそういうことに慣れていない、というよりのぞんでいないのが目に見えてわかるのに、それをいいようにおもちゃにしてからかっているだけだという印象を受けます。これはある意味セクハラです。<は? ノーベル賞自体はもちろん予想だにしなかったことでしょうがまあ選ばれたものはしょうがないといいますか、きっとご本人がいちばん困惑されたと思いますけれど。問題はそのあとです。会社からは手のひらを返したように手厚い待遇を受けるわ、あちこちで表彰されたりお偉い方と会わされたり講演したりと引っぱりだこの毎日だわ、報道機関からは記者に取り囲まれ質問攻めに遭うわ私生活までかぎつけられるわで、これにはかなりまいっているんじゃないでしょうか。けしてそんなことまで期待していなかったはずです。じっさい連日の報道を観た私の感想は、自分の仕事をつづけていけばきっと報われるときが来るという希望よりも有名人になったらこんなに苦労するんだという落胆のほうが大きかったです。そしてもうひとりの日本人受賞者であるはずの教授のほうはまったく取り上げられません。どうも田中さんは今までこつこつと開発をつづけてきた方のようですので、そういう自分のペースをくるわされたり、あるいは不当なほどにもてはやされたりご自身のことをほじくり回されたりするのはきっと気分のいいものではないと思うんです。困ったのはまわりがそれに気づいていないということ。こうすれば喜ぶだろうと思ってみんな自分勝手にあれやこれやしています。それが当人にとって迷惑になっているということも考えずに。そしておそらく田中さんはそれをなかなか言い出せなくて、しぶしぶ笑顔で応えているのでしょう。よかれと思ってやっていることが相手を苦しめている場合もあるのだと。押しつけの善意なんてのぞんではいないのです。…最大限の自責と自戒をこめて。

ソーシャル/購読

このブログを検索

コメント

ブログ アーカイブ