高分子ケトル

2003/07/07

むかしのひび

雨上がりの天気がすきです。おなじ湿った空気でも、梅雨どきのじめじめした不快なものではなく、高原の朝露のように澄んでいます。思わず深呼吸したくなるような、きれいな味がします。早起きのスズメやチョウに目配せをして。住宅街を歩いていたって大きく両手を上げて伸びをして。こんな日は気持ちもちょっとだけ大胆になるんでしょうか。ふと周りを見渡すと、山並みがよりいっそう近くに見えます。すっかり夏の色をした、青々とした山肌。そこから、真っ白な霧がもくもくと立ち上っています。大らかで、そこだけ時間がゆっくり流れていると錯覚してしまいそうなパノラマ。雲が誕生する瞬間を、今こうして目の当たりにしているのですから。雨が降ったりやんだりでなかなか気持ちが晴れないことも多いかもしれないけれど、季節は着実に、より暑くて光り輝くところへと向かっています。

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