ちまちまする担当

2003/02/27

むかしのひび

帰宅したら部屋の電気がついていてところどころ荒らされていました。そういえばもともと外の通路とうちのベランダのあいだをしきっているうすい壁に穴があいたままでしたし、いったん柵の外に出てベランダから回りこもうと思えばかんたんに侵入できます。セキュリティをまったく考慮していませんでした。防犯対策って意識としてはもっているつもりでも、じゃあ実際になにか対応や行動をしているかというとそうでもなくて、用心がないというかきっと平和ボケなのだろうなと思います。犯罪や事件が毎日のようにニュースで流されていても、どこかで自分には関係のないことだと遠ざけて見てしまっています。自分の目の前でそれが起こらないと、または体験しないと、人間というものは理解ができないものであるようです。本を読んで知識をつけたり物語を追体験することはあっても、ことこうした不測の事態には頭がきかない。それは私たちが無意識のうちに“不測の事態”だなどと決めつけてしまっているからです。事件がなにも起こらなくて変わりばえのしない毎日が淡々とすぎていく、それがデフォルトだと思いこんでしまっているからなのです。体の健康から国の財政までみんなそうです。現在の状態が等加速度的に継続していく、計算の範囲内でゆるやかに推移していく、さまざまなものの将来についてあまりに楽観視した予測しかたてられずにいて、統計でみてもじゅうぶん起こりうる多種多様なイレギュラーに対してはことのほか無頓着で、したがって無準備であるという傾向。いまはたまたま条件がそろってバランスがとれているだけであって次の瞬間にはどちらに転ぶかわからない、そういうふうに日ごろから危機感をたぎらせておくべきで、安定な状態が恒常的につづくなどと甘く考えていてはいけないのです。そうしなければアクシデントが発生したときに取り返しのつかない損失をこうむることになるのですから。そのときになって反省したりくやんでも、失ったものは戻ってはこない、それだけの重大なリスクを未来という時間は内在しているのだということを、自戒をこめてここに申し述べようと思います。……もちろんうちに空き巣が入った痕跡などどこにもなく、電気は家を出るときに消し忘れたものですし部屋がちらかっているのははじめっからですけれど。

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