「パツンパツン」って書いてあるのが「パンツパンツ」に見えた。…ondです。
べつに自慢ではありませんが、私、過去にモデルをやったことがあります。おかげで今ではカメラ恐怖症に…(それ笙子) というのは冗談ですが、本当に自慢するようなことではありませんので。だって、モデルはモデルでも、床屋のカットモデルだもーん。<うわぁ…
カットモデルというのは、理容室や美容室で、修業中の人のカットの練習台や、あたらしい髪型の実験台になる係のことです(係?)。大学の掲示板でモデル募集の張り紙を見たのがきっかけでした。見たっていうより魅入られました。<は? だってただで髪を切ってくれるんですよ?(何がだってだ) 当時まったく身だしなみに気をつかっていなかった(今もほとんどそうだけど)私は、ちょっとやそこら変なカットにされようがいっこうに頓着しません。そもそも寝ぐせなのか天パーなのかもわからない状態だったし。そんな餌でこの俺様がクマーー!ということで(何)、書いてあった連絡先に電話をしてレッツラゴンヌ。ふだん私が行き慣れないような、小じゃれたカットハウスでした。(←べつに呼びかたまで小じゃれる必要はない) 指定された時間はちょうど閉店時刻で、客がひとり残っているだけで、あとは店員さんが掃除や片づけをしています。そりゃまあそうですよね。カットモデルは一般の客とはちがうんですから、おなじ時間にカットしたりしませんよね。ただで散髪してもらおうとしている薄汚い魂胆のやつなんか客のうちにも入らねえってことだよな!<嫌なら来るなよ
私の髪をカットするのは、そのお店の新人さん。その人はべつにマッチョじゃありませんでしたが。<誰もそんなこと聞いてないよ? というか、失礼ながら申しあげると、どちらかと言えばイケてないメンでした。ほかの先輩の店員さんたちは、雑誌などでカリスマ美容師と呼ばれるような男前な人たちばかりで、もう顔が採用資格なんじゃないかって思わせるくらいでした。だからきっとこの新人さんも、修業を積んで一人前になるころにはキリッとした顔だちになってるんだろうなと思って(ないない)。で、さっそくカットが始まったんですが、ほどなく新人さんが音をあげます。私の髪の毛がもじゃもじゃでくしも通らないし、脂っこくて水でぬらしてもはじくし、バリカタなのではさみがこぼれそうなくらいだし。…そりゃまあそうですよね!(オイ) 自分で言うのもなんですが、この頭を切りそろえるのはかなりのレベルが要求されますからね!<最低の客だ!っていうか業務妨害だ!
それでも、先輩にアドバイスを受けつつ、悪戦苦闘しながらカットをつづける新人さんの姿を見ていて、だんだん申しわけない気持ちでいっぱいになってきました。もうね、いきなりこんなやつが来てごめんなさいと。(ぇ) もとの髪質が最悪だから、どうがんばったっていい髪型になるはずなんかないのに、仕上がりのひどさに気落ちすることはないだろうかと。実戦を積んで技術をみがき、自信をつけるためにカットモデルで練習しているのに、こんなの相手じゃかえって自信をなくすことにならないだろうかと。Z会の難関大コースを受講してあまりものむずさに戦意喪失する受験生みたいにならないだろうかと。軽はずみな行動が人に迷惑をかけることもあると、この歳にしてようやく学ぶ結果になったんですけれども。(ぇぇー) まあ、でも、ね? 新人さんにとってもこれはいい経験になるんじゃないかなって。これから床屋で仕事をしていけば、私のような頭の強敵にまたエンカウントしないともかぎりませんし。ていうか客をえらべませんし。その日のための訓練になったんじゃないかと、前向きに考えておくことにしました。
そんなモデルの胸の内を知ってか知らずか、序盤の下ごしらえ(?)こそてこずったものの後半は難なく進み、無事カットは終了しました。新人さんは私の頭の手ごわさに苦笑いしまくりでしたが、最後は「いい勉強になりました」とやたら晴れやかな笑顔を見せてくれました。近いうちに検定かなにかの実技試験があるんだそうで、それに向けての足がかりになってくれたらいいな、と思いました。短くなった髪の毛のようにさっぱりした気分で思いましたとさ。…で、なんというかそのとき感じたのは、こんな鳥の巣みたいな頭でも人の役に立つことがあるんだなあって。そのころの私はピーーでピーーだったので(<何!!)、そういうほんのちょっとした実感がうれしかったりしたのですよ。カットモデルという経験を通じて、それから新人さんとの交流を通じて、私もすこしだけ自信が持てたような、そんな淡き日の記憶のメモリー。
次はペットショップのトリミングモデルをやってみたいですね。<おまえ剃毛されたいのかよ<なんつうツッコミ入れてやがるんだコラーッ!
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