本当にコッペって聞こえる

2003/09/18

むかしのひび

このほど柔道やレスリングの世界大会があいついで行われましたが、あれって体重別の階級に分かれて試合しますよね。ということは出場しようものなら自分の体重がばればれになっちまいます。とくに女子の選手は気の毒だなあと思いつつ。や、己の肉体を武器に勝負に挑む格闘家だったらそれほど抵抗を感じないかもしれませんが。
それにしても、なぜ日本人女性は体重を隠したがるのでしょうか。いえ知りたいわけでもありませんが、体重と見た目のスリムぐあい(ひかえめな表現)はまた別ものだと思いますし、どうも数字を気にしすぎている感があるので。日本の誇る点数主義がこんなところにまで浸透しているのかと思うと気分はサウダージです。いえそれを持ちこんだのは男性側かもしれません。女が自分を美しく見せるのは男を魅了するためです。多くの動物がそうするように。しかし知能や感性を身につけた人間にとって自己表現の手段は肉体的なものに限定されません。それなのに男ときたら、やれスリーサイズだのやれバストのカップだのといった、体型のデータだけで異性の魅力を判断したりもてはやすことがあります。そんな目で見られたら女性側はどうしてもそれにこたえざるを得なくなってくるわけで。まったく情けない話だが。社会の場でも女性は男性より容姿を引きあいに出されやすい傾向があり、どうもそのあたりの不平等さはいなめません。いつの世も男は女をいじめているんですね。
さて話がそれましたが、なぜこんな話をしているかというと、私はダイエット反対派でして。このままでは健康被害のおそれがあるってくらいの肥満で必要にせまられている人なら別ですが、見たかぎりどう考えてもしなくていいだろうって人までやりだすのはどうしてなんでしょう。しかもそれを軽々しく口にできることも不可解です。やせようとすることは生きるための活動を思いっきり逆行しているわけで、どちらかと言えば恥ずべき行為だと思うのですが、なんでかかわいらしげに言っちゃう。私ダイエットしてるのようへへ、みたいな。あなたがたは本当にやせたいのかと。ダイエットしているって言いたいだけちゃうかと。ダイエットがまるできれいになりたい女性のエンブレムのように思われている風潮が残念でなりません。
蛇足ながらつけ加えるとすれば、体重にこだわるやりかたも納得いきません。たいてい何㌔落とすとか目標何㌔とか決めてやるそうなのですが、まずその数字はどこから出てきたのかと。ベストの体重は人それぞれちがいますし、おなじ人でも多少の変動はつきものです。医学の知識もないのにそんな数値を割り出せるはずもなく、往々にして実状を無視した、これくらいだったらいいなっていういい加減なイメージによるものになりがちです。先に気に入った服を買ってきて、それを着られるように自分の体型を変えていく、ということを世の奥方はやっているわけです。比喩と直接の両方の意味で。
どれだけ書籍やテレビ番組が警告を発してもなかなか聞き入れてもらえないのですが、無理なダイエットは本当に体に危険です。私の身近にもダイエットのしすぎでいわゆる拒食症になった人がいます。私はその人をかわいそうだとは思いません。それ見たことか、と。ほかにも生理が止まったりとか。女を魅せるために無茶をして、ついには女を捨てかねない結果を招いてしまう。なんと本末転倒なことでしょう。ダイエットだけでなくタトゥーや整形手術などもそうですが、そんなまやかしの美しさははたして本当の魅力と呼べるのでしょうか。いえ恨むべくは人を見かけで判断する社会のほうなんでしょうが。それにしたって、自分の体を痛めつけたという心の苦しみは、どこかでかならず汚点となってはね返ってくるでしょうから。もっと自分をいたわってほしいです。自分の体を大切にし、飾らないありのままの自分でいること、それが持って生まれた美しさを最大限に引き出す方法なのだと思います。望むらくは、そのままの自分を受け入れてくれる人を見つけること、ですかね。
……お食事中のみなさん失礼しました気色悪い文章で。ちなみに私がけしからんと思っているのは、ただ食事を抜くだけといった体に毒となるダイエットのことです。毎朝ジョギングするとか健康的なものでしたら大歓迎。

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