今夜も火星がきれいです。でもニュースなどで騒がれでもしなければあれが火星だとは気づかなかったんだろうなと思いつつ。いかんせん夜空には火星と月くらいしか肉眼でとらえられるものがありません。はるかなる星々の光は地上の私たちが出す明かりに負けて届きません。かたや火星はみずから光を発しているわけでもないのにあんなに明々としています。遠くのなんとかより近くのなんとかってやつでしょうか。
それにしても、6万年ぶりというのは大げさな言いかただと思うのです。地球と火星の公転周期はそれぞれ365日と687日ですから、つまり足の速い人と遅い人がぐるぐる走っている状態なわけで、そりゃもうしょっちゅう横をすれちがうわけです。しょっちゅうと言っても780日ごとですが。それがたまたま距離の短くなる位置ですれちがうのが今年でして、その距離がおよそ6万年前の大接近以来だということです。しかし近いといっても、いちばん離れている小接近とくらべても2倍の開きもありませんし、天文学上はなにも特別なことはありません。ちなみに、6万年前といえば日本列島がまだ海面から浮かび上がったり沈んだりをくり返して、ナウマンゾウが闊歩していた時代。あまり天体ロマンに似つかわしくない風景であったことはまちがいないでしょう。
個人的には火星の衛星フォボスとダイモスのほうに興味があったりします。いつか火星がもっと身近になったら、この目で見られる日が来るんでしょうか。
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