ガングリフォン

2003/09/22

むかしのひび

円高キターーー!<そんな狂喜するような話題じゃないし なんか東京でも午前中だけで3円くらい上がってたんですが。3円。昼食をとりながらニュースを観ていたものですから思わず吹き出しそうになってしまいました。G7で声明出されるやいなやの早業ですからね、まったくやんなっちゃいます。しかしかく言う日本も元の切り上げなんかを待望しているわけで、なんともむずかしい状況に立たされているんでしょうが。
政府や中央銀行が市場介入を行う(または実施するというにらみを利かせる)目的のひとつは、急激な為替変動を緩和し、自国内の経済や産業を守ることにあります。とくに日本は輸出をともなう産業がさかんですから、円が高くなっちゃうとありがたくないわけです。同じように内的保護を目的とする政策に関税があります。輸入する作物ないし製品に一定の税率を課して、国産品のシェアが脅かされないようにするための対応ですが、この税率というのも、WTOなどでの国際的な取り決めもありますが基本は輸入国が設定します。農産物などで高い関税をかけている日本はここでもよく非難の対象になっています。空洞化が進み、生産者は職を追われ、工場が相次いでストップする事態に歯止めがかからない現状もたしかにあります。しかし、コストダウンは利の常ですし、値段がべらぼうに高い国産品よりも、品質や安全性には多少目をつむっても安い外国の商品を求めるほうに消費者の食指がシフトしていくのも自然の流れであるはずです。むしろ国産品のブランドイメージを育てていけばきちんと棲み分けられるでしょうし。その潮流にお上が水を差してしまっている。厳しい意見ですが、今まで日本の産業は甘やかされて育ってきたのではないでしょうか。高度経済成長、バブル経済とつづいて内需は上昇の一途をたどったため、輸入においても輸出においても海外の製品や産業に目を向けることを怠りました。そのへんどうも日本は独りよがりな政策をとりがちだったように思います。今さらですが。そのため、国際競争力を高めることも企業の海外進出もほかの先進国より完全に出遅れてしまい、いざ国内が不況におちいったとき苦境に立たされる結果になったのではないかと。そうした過去のつけが今降りかかっているのだと考えるべきです。
ところで、日本は本当に不景気なんでしょうか。自分の生活の中で、景気が悪くなったと心から実感したことってありますか。個人消費が落ちこんだ、求人が減った、そしてリストラや倒産。データでみれば事実かもしれません。しかしそれらの変化は、私たちがバブル崩壊から学んだ教訓にすぎません。むだな買いものをしなくなった。むだな人員を採らなくなった。そして、社会においてむだな企業はおのずと淘汰されていくでしょう。ふだんから倹約を心がけてきた人や、堅実な経営につとめてきた企業ならばさほど痛手はこうむらなかったはずです。うき目にあったのは、食うわ遊ぶわでむだ遣いしてきた人や、右手うちわの殿様経営をしてきた企業など、お金を大切にしてこなかった人たちばかりです。お偉いがたも企業も個人も、今は痛い思いをしてそこから学習する時間帯なのかもしれません。

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