[むかしのなぞ] 2008/11

2008/11/01

当たり前のことを当たり前に言える、そんな世界に生きたいだけだ。

これは危険な感情だと、気づいてしまった。これは危険な兆候だと。
思いを口にすればするほど、重くなっていく。澱んで、霞んでいく。
言葉に意味を与えられる。そのことは素晴らしいと思っていたのに。
率直な考えや正直な気持ちは、なぜかそれ独りが浮き足立つようで。
謝ることもなく。誤ることもなく。また、過つこともなかった言葉。
それがなぜ煮凝るのだろう。なぜ距離を、置かれてしまうのだろう。
どうしても受け入れられないもの。受け付けないものがあるとして。
最終的にそれは、傷跡として、自らをやりこめる材料にしかならず。

他人と深く関わってはいけない。おたがいを知りすぎてはいけない。
また発作が起こるから。きっと病気なのだろうと甘受して。諦めて。
それでもどうしようもなく人を求めてしまう。恋をしてしまうのは。
何がいけないんだろう。ぼくにまだ足りないものがあるのだろうか。
たとえば我慢。たとえば独占欲。たとえば他人をそねむ狭量な秤量。
甘えてしまうのは、心が弱いから、弱い人間だから。知りすぎた話。
適度に中途半端で、飽きっぽくて、冷めた心の持ち主でいるべきだ。
それが人間関係の秘訣。という鉄則。その禁を、また犯してまでも。

手に入れたかったのは、かつて失った夢。叶えられなかった遠い夢。
固執はしていなかった。けれど、チャンスだと思って光にすがった。
何かの代わりとして誰かを利用した、それだけのごくありふれた罪。
だけど、それでも。そうやって手を汚して生きることが宿命ならば。
ぼくは、歌い続けなければいけなかった。つぐんではいけなかった。
たった一度の「失恋」で挫けて、何もかもに臆病になっていた時代。
そんな若さからは、もう縁を切らないといけない。成熟たる大人に。
最後のあがきの時間は過ぎたけれど。だったら一生あがいてやろう。

きみに見守られて、ぼくが今日もここにいる。ただただ、ありがとう。

2008/11/04

思いの外何でもなかった。そう思える人生だったらいいなと、そう思っていた。

全履歴を抹消し、秘匿し、隠蔽したいと。何も関わらなかったことにしたいと。
そうしておきたかった気持ちもわからないではない、という理解を求めていた。
10年前の今日、何もかもに絶望していた。何もかもがどうでもよくなっていた。
死にたいとは思っていなかったが、このまま死ぬかもしれないとは思っていた。
不安、齟齬、悲観、軋轢、袋小路。「大人」になんてなれないという現実逃避。
ただ何も考えていないだけだったのだが。生も、死も。自分も、他人のことも。
踏ん切りがつかなかった。優柔不断に手をこまねいて。その積み重ねであって。
暗示でも未来予報でもない。そんな人間が今日まで生きてきた、それだけの話。

点と線、という言葉がある。事象を点の集まりと捉えずに線で結んで眺めろと。
ぼくが人生を観測する上では、結果的にむしろ逆の転換が必要だった。線と点。
時間にも空間にも、どこにも線なんて引かれていない。区切りなんて何もない。
自由運動をする分子。何も存在しない場所には結局何もなくて、通過するだけ。
ある境界を越えたとして、それで何かが変わったりしない。人間の中身なんて。
レベルアップもクラスチェンジもありえない。ただ淡々と、ぐるぐる回る道程。
そう思うようになったから。どこまで行っても、この世界はきっと同じ景色で。
そしてぼくも。ぼくという人間も。変わらないことの是非は、ともかくとして。

毎日微妙に違う明日。けれど歴史は移ろわない。連綿と続く、諦念に覆われて。

2008/11/12

何を当たり前のことを言っているのだろう。そんな、言っても言わなくてもいいようなこと。

きっと真理なのだろう。半分は自己主張。自己顕示欲の表れ。
ぼくはきみのことを見ている。同時に、きみにぼくを見てほしいというアピール。
だから、空気が読めないとか言われるのだ。あるいは、言われまいと気にするのだ。
こんなことだから。浅ましさが情けなくて。劣情を抱えているようで。
そんな目で見たことなんか一度もない。どっちに見えようとどっちだっていい。
そういう無害さをひけらかそうとすること自体が、すでに嫌らしい行為に思えて。
自分をわかってもらえるなんて、そんな虫のいいこと考えていたわけではないけれど。
それでも、難しいなと思う。それとも、難しさに直面している現状に感謝するべきか。

絆が重い。「きずをなめあう」を縮めて「きずな」だから。痛々しい関係。
そんなものに縛られてちゃいけない。そんなものに縛られてなくちゃいけない。
あるいは、単にぼくが事態を重く捉えすぎているだけなのだろうか。
もっと気軽に。もっと軽い気持ちで。もっと当たり障りなく。だめだだめだ。
自分を取り巻く環境を、その構築および変化に関する事項を、とても無視なんてできない。
がんじがらめで。逃げられない、というのは、逆に言えば居場所があるってことだから。
何を、迷うことがあるのだろう。何を迷っているのだろう。そう、この期に及んで。
誰に認められたのでもない。ここにいていいんだって一人で勘違いしているだけの自分が、もうすぐ。

それでも、伝えたい気持ちはあって。この気持ちに偽りはないってこと。一途だ、ってこと。

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