[むかしのなぞ] 2004/09

2004/09/01

周期的に訪れる。こんな気分の日。

着飾ることが当たりまえになった毎日。
肩の埃も見逃さない。
行儀よくしているなんて、窮屈でしかたがない。
本当は両足を投げ出してくつろぎたい。
いつから、できなくなってしまったのだろう。
立場や周囲がそれを許さなくなったのではない。
自分自身が、奔放さに目を向けられなくなった。
つまらない人生に体が慣れてしまった。

反抗したくてもできない。
その後を考えると恐いから。なんて臆病。
何かを壊したいと思っている自分が嫌で。
踏み切れずにいる自分もまた情けなくて。
そのうち、描いていた夢や目標なんて忘れてしまう。
日々をどうやり過ごすか。耐えるか。それだけ。
もはや、明日を築くための今日ではない。
ただ消化するだけの今日。

ひとつの仕事を続けて。
毎日の生活をこなして。
それは決して立派なことではない。
言いたいことを表に出さず、ただ黙々と俯いているなんて。
ときどき、今とはまったく異なる自分をイメージしてみる。
目の前のことから逃げるためでなく。
新しい世界を模想する探求心。
そんな虚構の前にさえ、抜け出せない現状が立ちはだかる。

ぼくに、明日はあるのだろうか。

2004/09/02

短くも長い間。

ひとつのことに囚われている自分が、たまらなく憎かった。
脇目もふらず必死になって、目も当てられない姿をさらす。
殺しても殺しても、また甦ってきた。逃れられなかった。
強さと弱さの両方を隠すことで、見せなくしようとした。
意思の追随しない、消極的な自分。それでもいいと思った。
衝動的に何かを血に染めてしまうよりは、黙っていようと。
それでも、密室に籠もると抑えきれない。言葉が暴れた。
何度肝を冷やしただろう。その背筋を、震わせただろう。

ダイレクトメールのように、それは伝わってきた。
絵文字さえも無味乾燥にしか感じられない。
違う。それが最も無難なやりとりの手段だと、誰もが気づいたから。
取り残されているのはぼくくらいのものだ。
こんなことにムキになって。真剣な顔で、笑い者になる。
いつまでも何かを期待して。徒労を費やしていることもわからない。
積み上げてきた過去が消えた、それだけのことなのに。
自分の人生の一部分を剥ぎ取られたような妄想に駆られる。

本当に時間は進んでいるのか。失望の大きさを、過日と取り違えてやいないか。

2004/09/04

縮図、なんてものではないだろうが。

新鮮な食材が並べられた市場は、なんとも生臭い。
魚屋の磯の臭い。肉屋の血の臭い。それらがさらに混じり合う。
これらがみな自分たちの口に入るのか。とても信じられない。
食事をした後の胃袋の中は、もっと凄惨な状態だろう。
軒先に立つ店主も、往来する客も、また。
さまざまな思惑を持って、さまざまな言葉を交わし、さまざまな方向に歩く。
まったく接点のない各個人が、この場所ですれ違う。
流動する人間市場。

この混沌を、誰もがよく解析していると思う。
人の流れに押されることなく、他人とぶつかることなく。
自分の買い物をしたり、行きたい場所へ向かっていく。
よく見てよくコントロールして、社会の一員として生きている。
整頓された道具箱のようだ。
一人ひとりが、明確かつ特異な形状と目的を持っている。
常識の名のもとにエリートが集う。
そこに漏れたぼくは、さながら体系から削ぎ落とされた木屑か。

自分が不器用だと知るには十分な試行。

2004/09/06

わかったようなわからないような、口を利く。

第一に、重要な言語の一部分が奪われていた。
安易な単語を使えなくなっていた。
適当な慰めや、辛辣な追求や、また闇に触れること。
注意と慎重を期すほど、必然として我が引っこむ。
どれだけの重要な問題を、遺棄したままであるか。
意向を窺うような会話に終始しているか。
飲み込まれないように。その一点を警戒しすぎてやいないか。
窮屈さこそ本来の姿勢。そう言わんばかりに。

傷とか誤りとか確執とか。
言葉にしてしまうと軽んじらる気がして。
空気に触れた途端劣化する、化学物質のような。
表に出さないまま胸の中に鍵をかけてしまっておく。
それが最良の“保存”方法だと、知覚している。
外から見えなくても、物性としての引力は有するから。
それを認識した上で会っているのかもしれない。
善人と取り繕わない。自らの悪を知って居直る。

ぼくは結局、ぼくを美化することに執着していた。
語るべき自分を持たない、なんて、体のよい嘘。
心を暴かれることを怖れないと、言いながら腰が引けている。
これだけ強固で堅牢な自己があろうか。
これだけ頑なで閉塞した人格があろうか。
自分の過ちを心から認めたことなど、おそらく一度もない。
懺悔さえ、自分の言うことが絶対だという前提に基づくもの。
自己防衛のため。すべてを隠すのは、当然のこと。

しかし、反省は必要だとは感じる。
どこかで有頂天になっている自分。戒めたい。
絶望の実態を忘れかけているなら、なおさら。
本質的に汚いものだから。この精神も行為も。
自らの行動における禁止事項は完全に掌握しているはずなのに。
どうしても遵守できない。罪をわかっていながら。
この口がどれだけ人を煩わすか、まだわかっていない。
まどろみに逃れようとするぼくを、叩き起こしているのだろうか。

振り払おうともしない。一部の加害者による、呪縛から。

2004/09/14

幼き日に教わったことの意味が、突然わかったりする。

毎日のように、残悪な事件が報道される。
テロで何百人も犠牲になったとか。
自分の子を虐待して死なせたとか。
盗みに入った家の住人を殺して火を放ったとか。
同じ人間のすることかと疑うような、惨い現実。
いつも放送を見て知る。それも食事中に。
朝も昼も晩も、嘔吐を催すようなニュースを耳に入れながら平気で飯をほおばっている。
それはどんな味がする。

食事のときにテレビを見てはいけない。

2004/09/15

いつまで怖れるのか。

自分を開放するチャンスならいくらでもある。いや、あった。
今のぼくは自分を出し惜しみしていると思う。
ブランドを獲得したつもりか。
商品価値を見出したつもりか。
何もかもを晒すしか能がなかった過失を思えば、しかるべき忌避だろうが。
それでもいまだに、縛り続けるものがあって。
意見を思ったままに言う方法を忘失した。今さら思い出せない。
それに。自分のことを語って話題を作るなんて、日記だけで十分だ。

ぼくは自分を意欲的に明かそうとも、また意図的に隠そうともしない。
なかばどうでもいいという気持ちがある。
誇らしげに述べられるようなとっておきの話も持ち合わせていないし。
他人の探求心をくすぐるようなもどかしい秘密などというものもない。
嘘はつかない。尋ねられたことには過不足なく答える。
けれど、それだけだ。あえて自ら口を開く必要はない。
なぜなら面白くないから。この人間とこの人生はけして語るに足るものではないから。
もっと単純に笑ったり楽しめる話題があるなら、そちらにしようよ。

なんて虚言。
絶対に他言できない闇をいくつも抱えているくせに。
結局、それを知られるのが怖い。
他人に深入りされて、心の中を暴かれることを執拗に警戒している。
だからノンポリを演じ通そうとする。
何も考えていない、凝り固まった深い部分などどこにもないと、思わせなければならないから。
おのずと突っ込んだ会話を断るようになる。愛想の悪い人間、結構だ。
何人たりとも触れてはならないものだから。

これ以上近づかれると、すがってしまいたくなるから。

2004/09/19

今日から始まる。

理想から遠ざかっていくばかり。
自立した生活を得、仕事も覚え、友人たちとも会って。
すべてが上手くいっているように見えて、当人の心には寒風が吹きすさんでいる。
もういつから、そのことにばかり囚われているのだろう。
潔く諦めをつけられないで。浅ましくも手を伸ばす機会を窺っている。
小さいことなど気にせずに、与えられたものを大切にして、広く大らかな心でいたい。
そう願っていた自分像なのに。こんなにも弱くて、俗的な欲求になど駆られて。
ぼくは小さい人間だ。初めからわかりきっていたこととは言え。

誰も、真に血塗られた歴史を知らないから。
みんなが笑い話にしている思い出を、振り返られずにいる。そのように戒めている。
ちっぽけなことだったからこそ。その呪縛に取り込まれるのは一人だけ。
さらには。当事者間にだけ封印された事件。一度たりとも語られることはないだろう。
それくらいに凄惨だった。人として許されないことをした。
そこから学んだ教訓は、ぼくは他人と深く関わってはならないということ。
ろくなことにならないから。きっとまただめになるから。
自分を蝕んでいるただ一つの理由。冷めた目でしか人を見ていない理由。

大切なものを失いたくないから無関心でありつづけるなんて。
矛盾しているだろうか。誤っているだろうか。
手に入れることを怖がっていると言ってしまえば、それで終いなのだろうが。
では、なぜ満たされないままでいるのか。
このままでは不安で不安でしかたない。
狂おしいほどに欲する気持ち。どうにか抑えられないものかと頭をひねる闘病生活。
せっかく会得した絶妙な距離感さえも、放擲しようとしている。
踏み越えてはならない領域だと心の中で何度も警鐘が鳴っているにもかかわらず。

結局、ただの臆病。
自分を壊すなんてできなくて。関係を壊すなんてできなくて。
自ら手足を縛って退路を塞いでいる、それも知っている。
そうでもしないと、さらに人の道を外してしまうのではないかという懸念があるから。
次こそは仮想的な隠滅ではすまされないだろう。修復不可能な取り返しのつかない傷を、負うことになるだろう。
それでもあえて挑むなんて選択、できそうもない。
理想は理想のまま思い続けることが一番無難だと知ってしまったから。
その中に一人潜って密やかに生きていくことが一番幸せだと、知ってしまったから。

長い長い、孤独死への序章。

2004/09/21

心の中で吐き続けているあれはいったい何だ。

殺したいほど憎い、は大好きの裏返し。
どちらも他者に向ける強い感情だから。
だとしたら、その逆も言えるわけで。
どうしてつらくあたってしまうのだろう。
責め立てるつもりなんてなかったのに。
この感情は謂われのない理不尽な憤りだ。
ぼくが一方的に腹を立てているだけの。
面白くない、という幼い理由だけの。

もっと早くこうなるべきだった。
そして、もっと早く知るべきだった。
自分をよい方向に誤解しすぎたことを。
届きもしない幻想に酔っていたことを。
人並みの幸せがこの身に舞い込むなどと。
呪われた人生には到底そぐわない。
いずれ見放されるのだから、早いほうが。
中途半端な期待などかえって残酷だ。

それでも、夢に溺れたいと願ってしまう。
約束さえ交わせば、それで安心を得られるから。
実現に至らなくても、知らずにいられるから。
自分がとっくに絶望の中にいることを。
すべては破綻した物語の延長だということを。
そんな夢心地の終焉もいいかもしれない。
不幸を知らずに意識を永劫に閉ざせば。
その人生に、存外満足できるであろうか。

笑顔の裏に、汚い罵声と裏切りと支配欲。

2004/09/22

人格が壊れていく、実感。

目に見える症状が顕著になってくる。
体の怠さ。虚ろな目。頭痛。難聴。出血。
表層的な兆候は他人にも悟られてしまうので、望ましくない。
体よくごまかす手段を持ち合わせないから。
これを体調不良の一言で言い逃れられるほど、これまで不健康に生きてはこなかった。
だからこれは、おかしいのだと思う。
どこかが異常を来しているから、軋む音がこうして発せられて。
一歩また一歩、ぼくの体ではなくなっていくような感覚だ。

できるのならばもっと人知れず朽ちたかった。
内面的なこと、心の問題として、他人に口出しの余地を与えない。
精神はとっくにいかれているから。何とでも口実を並べられる。
少年時代、わざと自分の持ち物を壊したり体に傷をつけた。
同級生にいじめを受けているという状況をでっちあげるため。
それと似たようなことを、今も続けているのかもしれないと思うとやりきれなくなる。
こんなふうにしてでしか誰かに気遣ってもらえないなんて。
なぜ最初から正直に助けを求められない。

生き残る術を模索しようとせず自ずと絶望に飲まれる。

2004/09/23

笑うしかないような状況だから、だろうか。

あくまで社交辞令の会話だと、おたがいの頭の中では暗に了解し合っているのだろう。
しかしそれを口に出すことはない。わざわざからくりを明かす必要もない。
いつからそんなに冷たい仲になってしまったのだろう。初めからだったのだろうか。
一方通行の愛情がとてつもなく空しく感じられて、それ以上に癪で癪で仕方ない。
だから、なかったことにしようだなんて。貢いだ分を遡って精算しようとして。
ちょっとつつけば壊れる関係だったのか。そんな簡単に覆ってしまう信頼だったのか。
言えないたった一言の代わりに、子供のけんかのようにただ怒鳴り合ってばかり。
こんなみっともない思い出を糧にして明日から生きるなんて、すこぶる後味が悪い。

ぼくは振り回されてばかりだった。がっかりすることに、もう疲れ切っていた。
だからというのではないだろうけれど、きっとしがらみみたいに感じ始めていた。
いつもいつも。期待が瞬間的に失望に凝固する。固辞が日常の挨拶になっていた。
謝らないでほしい。自分のしたことがよけい惨めに思われてくるだけだから。
フォローなんてしないでほしい。気を遣わせていることがさらに情けないから。
慰めないでほしい。自分でも解りきっていてそれでいてどうしようもないことだから。
それなのに、焦がれる気持ちはくすぶらなかった。ひとえに自分の判断ミス。
相容れない間柄だったのだと、埋まることのない溝の深さを、認識しきれなかった。

変なところだけ脳天気にできているから、朝になればどうせ忘れているのだけれど。
それでも昇日なんて望まない。明日という日は、もう歴史の向こうの出来事だから。
明日、明後日、明々後日と、日数が経過すれば、それだけ記憶が掠れていく。
ぼくたちがあった毎日が、重ねた時間が、過去へと押しやられていく気がして。
どんどん遠いものになって、薄まっていって、ページアウトしてそれっきり。
こんなふうに終わるなんて考えてもみなかった。まして望んでいるわけがない。
あっけないものだ。囁いた甘い口説き文句の数々が、みな無駄になるんだから。
だが、少ない可能性に賭けて耐え続けるなんて気丈なこと、ぼくにはできなかった。

背中を向けたとき笑いと涙が同時にこぼれた。

2004/09/25

大切だった時間を心の中で失って少し経つ。

期待したのは変化。探していたのは隠れ家。
途切れることのない均質な時間流に、タイムアウトをかけたかった。
絶えず張りつめっぱなしだった緊張の糸を、ぶつ切りにしたかった。
常に向けられている社会という監視の目を、少しでも遮りたかった。
ぼくが求めているものの先には、必ずそういうものがあるのだと思った。
目先を変えて、楽しいものに触れなければ。そういう気持ち。
だから、多少無理してでも人前に出て明るくふるまう必要があった。
それで正解だった。

ため息ばかりで会話が進まない。
言いたい気持ちが、そもそも言葉となって出荷されるのかもわからない。
すぐに話を逸らす。触れられたくないから。ただ笑っていたいだけだから。
ぼくがぼくらしくなくなっていくような話を、誰が聞きたがるものか。
思い過ごしだろうか。そんなこと考える必要ないのに、と思うだろうか。
違う。結局は、己の汚点をさらすことに抵抗を感じているだけなんだ。
だから語らなかった。親友の前でもついに心を開くことはなかった。
実に閉塞した人間だ。笑わせる。

それでも怖いものは怖い。
口にした途端、音を立てて崩れてしまいそうで。魔法が解ける気がして。
本当にそんなことなのだろうか。今も口外するのをためらう理由って。
もっともらしく言及を避けて身を守っている。ボロを出さないように。
そして、やがて終息するその世界を、心の中にだけ封印しようとしている。
まるで最初から存在しなかったかのように、きれいにその記憶だけ消す。
そういうことをしようとしているんだ。してしまえる人間なんだ、ぼくは。
もういつでも関係を禊ぐ用意がある。

幸せになることを誰よりも待ち望んでいたのだから。そう、納得させよう。

2004/09/26

本当の鏡に何が映る。

世の中のきれいごとが一切信じられない。
いや、存在はしているのかもしれないが。
ただそれが目の前に現れることはないだろう。
それだったら、存在しない世界に等しい。
夢の中でさえ、いつも取り残されてばかりで。
ぼくを見捨てて置いていく、無言の背中。
望もうが望むまいが結果は変わらないから。
どこにいたって、こんなに近くて遠くて。

手を伸ばせば届くなんて、思ったのだろうか。
あまりに浮世離れした誤解だらけの意識で。
世間と対等に肩を並べられるはずもない。
源流も、人格も、前科も、経歴も。性癖も。
すべてが歪んでいる、ねじれた人間だから。
みじめな自分はもっと蔑まれるべきだ。
笑われて、屈辱を受けて、ひがめばいい。
変人らしく他者と敵対関係にあるべきだ。

このままではいつまで経っても変わらない。
わかっているのに。待つことしかできない。
この悔しさを、どうして表現できようか。
この苦しさを、どうして人に伝えられようか。
どうせ通じやしない。気持ちなんて。何も。
ここまで微動だにしなかった、それが結果。
負けたんだ。ぼくの惨敗。尻尾を巻いて退け。
そして怒りを憎しみに変えて攻撃に転じるのか?

わかっているんだ。ワンパターンすぎて。
自分のこと。ちっとも成長していないこと。
ここから始まるんだって、どこかで思っていた。
けれどその糸口も掴めないまま。馬鹿なまま。
感情を奪った過去を恨んでも、詮ないこと。
今の自分で勝負できないのならどのみち嘘。
挙げ句脳内イメージだけで勝手に話を進めて。
いい加減、枕相手に愛を語るのをやめたらどうだ。

それは本当の恐怖。復讐の刃が向けられるとき。

2004/09/27

表裏一体の感情の、その臨界点の縁をふらふらと歩いているのが今の状態。
引き留めてくれるものはもう何もない。初めから期待してはいけなかった。
ちょっとした失望から猜疑心は芽生える。断片的な状況証拠で悔恨を導く。
振り上げた手を止めるか振り下ろすか、それとも空振りするか。それだけ。
ぼくの最たるいけないところは、悪意を心の中に押し篭めておけないこと。
堪えきれず具体的な攻撃となって他者に向けてしまう。だから近寄れない。
今日の想念は明日の画策となり、いずれは本音を漏らして怒鳴り散らかす。
こんな一方的にわめくばかりの自己主張しかできなくて何が穏健な良識だ。

たとえば電話をしようとしてつながらないとき、少し安心するぼくがいる。
会話が回避されたことによるある種の平穏。黙って鞘に収めて狼狽を欠く。
言葉を放つことに、それだけのリスクを感じている。びくついてさえいる。
何か見当外れのことを言ってしまわないか。話し方が気に障りはしないか。
余計なことを好んで明かしたくもないし、気配で嗅ぎつけられたくもない。
自分を守るために口を閉ざした。ずっと以前からの経験則が判断したこと。
それは今も間違いではなかったと思う。だから好き勝手書ける場を選んだ。
緻密な文言により公表される言動ならびに軌跡こそが、ぼくの定義の総て。

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