鴨川ホルモー

2022/07/20

ダメだこいつ

ちょっと旅行の疲れ出たかも。ごきげんよう。

最近百合漫画に心をえぐられる体験を立て続けにしました。
いえ致死量のエモを摂取したとかじゃなくて。<それはむしろ日課だろ

ひとつ目は『君と綴るうたかた』です。
朝香が恋人関係を迫った理由も衝撃的でしたが、さらにえげつない行為に及びます。
星川が小学生のときに傷つけた相手に謝りに行こうと言うのです。
第14話でその一部始終が描かれたのですが、読んでいてずっと胸が苦しかったです。
何度も目を背けたくなるのに漫画だから目を向けないと先に進めないというジレンマ。

だってそんなことできる人います?
まだ高校生だから若干鉄が熱いのかもしれませんがそれでも。
過去に嫌な思いさせて顔向けできない人なんかぼくだって山ほどいます。
というか自分も星川タイプでしたし、身につまされる点は人一倍あります。
仮に謝れる機会があったとしても、相手の反応を想像するだけで怖くてたまりません。

きっと多くの人が抱えている後悔やトラウマを、残酷なまでにえぐり出すこのエピソード。
いじめなど人間関係の問題を扱った作品は他にもありますが、ここまで罪の意識や生きることの難しさに正面から向き合っているのは稀有ではないでしょうか。

ふたつ目は『作りたい女と食べたい女』です。


グルメ漫画に数えられますが、春日の坦々とした食べっぷりに野本のみならず読者も惚れ惚れします。
他に大きな特徴としては、バックグラウンドの重さ。
二人の人格形成に至った過去というか半生が語られるのですが、これがもう…。
たがいに惹かれ合う理由を説明するには十分どころか過剰で、もうやめてくれと思ったときもあります。
こんなに痛みを伴うキャラクター掘り下げもなかなか例がありません。

これだけならただ痛いけどリアルなだけで済んだのですが。
個人的にダメージを受けたのが、第26話で描かれた春日と実家との確執です。
以前にも家庭環境の話は出てきましたが、その完全版というかラスボス戦というか。
容赦ない言葉の暴力に胸が締めつけられました。

ぼくには春日の苦しみの何分の一も汲むことはできないでしょう。
ですが、型にはめられ役割を押しつけられてきた点は他人事とは思えないほど共感できます。
そして想像ですが、同じような悩みを抱えて生きている人は少なくないのではないでしょうか。

自分は本来、ドラマや曲の情景に自分を重ねることはありません。
これまでも親近感を覚えるキャラクターとの出会いはありましたが、性格や思考が似ているだけでした。
こんなトラウマを思い出させるレベルで記憶や経験にシンパシーを感じるなんてなかったことです。
痛みだけでなく、過去や本心に向き合う機会をもらったという感謝や充実感もあります。
ただその感情は自分だから得られたものなので、それを作品の評価に直結させるのは違うのかなと。

ぼくが冷めているだけですが、こういうエピソードを読んで心を救われた人、勇気をもらった人もいるかもしれないと感じました。

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