ブラジルナッツ(上)のでかさは異常。ごきげんよう。
今さら話題にするのも遅きに失した感がありますが、やが君が完結しました。
アニメ化もしたし、舞台にもなってガチキスまでしたらしいですがまあどうせ東京だし。<うぜぇ…
悪い評判をまず聞かないし、百合作品の最高傑作との呼び声が高いのではないでしょうか。
そこは同意ですが、個人的にはそれだけに留まらない魅力を感じています。
むしろ百合好き以外にも勧められる、という点において。
人を好きになるとはどういうことか、という普遍的なテーマを描いていることが理由の一つです。
同級生が誰が好きかとか恋愛話で盛り上がる中に入っていけず、これでいいんだろうかと悩んだ人も少なくないのではないでしょうか。
本書ではたまたま(ぉ)女子同士ですが、そのように人を好きになると言ってもさまざまな形があること、あるいは誰も好きにならないことも含めて一つの生き方として提示されています。
あのときの自分は間違いではなかった、という救いをきっと与えてくれることでしょう。
…などと語りに入ってしまうこと自体が思うつぼなんですが。(続く)
そう、本作のもう一つの特徴は「つい語りたくなること」です。
恋愛以前のところから話が始まっているという特色はありますが、一見すると数ある百合漫画の一つに過ぎないように思えます。
それなのにやが君は感想や自分の考えを述べずにいられない。
何が違うのか。
新世紀エヴァンゲリオンとの類似を指摘した以下の記事に答えの一つが示されていると感じます。
終盤のエピソードを紹介していますのでネタバレ注意。
仲谷鳰『やがて君になる』第44話|そのスピードで
http://nearfuture8.blog45.fc2.com/blog-entry-2910.html
その指摘になるほどとひざを叩いた口でして。
ぼくはエヴァンゲリオンのコミック版がとくに好きで、たしかに言われてみると読んだときの雰囲気が似ています。
描き込み具合や余白の使い方など表現も似ているところはありますが、それ以上のもっと深いところで。
おそらくは、ストーリー全体においても「描き込みすぎない」「余白を残す」ということをやっているのではないかと。
全てを説明しない、というか。
難解な設定が多くの議論を呼んだエヴァンゲリオンとやはり共通しています。
作者があとがきで、やが君の世界がどこかにあって自分はそれを預言者のように伝えているだけ、と語っていたのがある意味衝撃的でした。
だって自分の作品なのにそんな他人事みたいな…。
意図的なのかそうでないのか、いずれにせよ創作物として非常に珍しい距離感なのではないでしょうか。
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