部屋の中がアンリミテッド・ペットボトルワークス状態。ごきげんよう。
「フェイトちゃんに伝えたいこと。友達に…なりたいんだ」
「……。ごめん、私、友達ってどうしたらなれるのか知らないんだ」
「…こんなに頼んでるのにダメなの?!」
「言うほど頼んでないよね? っていうかまだ一回しか頼んでないよね?」
「ねえお願い、友達になりたいの…」
「そんな困るよ…」
「それじゃあせめて…親友になってくれる?」
「もっと無理だよー。親友ってさらにハードル高くなってるし」
「でもわたし、フェイっちと仲良くなりたい…」
「フェイっち?! あだ名? それあだ名?! 勝手につけないでくれる…?」
「お願いフェイトちゃん! わたし何でもするから! パシリに肩もみにカバン持ち…」
「それ友達っていうか舎弟だよね?! 私そんなふうに見られてたの?」
「今ならうちのケーキ食べ放題だよ?」
「食べ物で釣るとかどれだけ足元見られてるんだろ…」
「お願いだよ…。お話がしたいだけなんだけど」
「…というか、ほかにも魔導師はたくさんいるよね」
「ほかの魔法使いじゃダメなの! わたしはフェイトちゃんと友達になりたいの!」
「どうして私なんかの…?」
「うん、ミッドチルダがうちから一番近いから」
「そういう問題?!」
「だって転送ポート一本で会いに来れるんだよ?」
「知らないから…! そんな基準で選んだとか言われても…」
「それに…。戦ってるフェイトちゃんの哀しそうな目を見たとき…『ああ、この子友達いなさそうだな』って思ったの」
「バカにしてるよね? ねえっ? 私のことバカにしてるよね…?!」
「ねえダメなの…?」
「だって…。きみからはまっすぐな気持ちが全然伝わってこないから…」
「そんなことないってば! ちゃんとわたしの目を見て!」
「……」
「…クスッ。えへへ…」
「…なに照れてるのさ」
「だって女の子どうしで見つめあうのってなんだか恥ずかしくって…」
「自分で見ろって言ったくせに…。もう帰ってくれない?」
「いやだよ…! フェイトちゃんが『しょうがないわね…。と、友達になってあげるわよ』って言うまで帰らないから!」
「言わないよー! それ全然私のキャラじゃないし…」
「『なのはには一本取られたなぁ、はっはっは』」
「そんなオジサンくさくもないから! ねえ…もうほんとに帰って?」
「帰らないもん! フェイトちゃんになんて言われようと…、魔力回復するまで帰らないよ!」
「もう飛べなくなってるわけ?! じゃあ私の魔力分けるからそれで帰ってよ…」
「魔力はありがたくもらうね♪ …でも帰らない!」
「なんで?! だったら魔力返して!」
「ふああっ…! フェイトちゃんの魔力がわたしの体の中で…ハァハァ」
「変態だー!!(AA略」
「どうして友達になってくれないの?!」
「だって変態だし…。それに、友達になっても裏切られるのが怖いから」
「わたしは裏切ったりしないよ…! じゃあ試しに、わたしに『悪魔』って言ってみて?」
「えっ…え? …こ、この悪魔…」
「うわああああっ! ひどいよ、よくも…よくもわたしの悪口を…! 受けてみてっ、ディバインバスターのバリエーショ…んっ…うああ…あ…ぐっ…ううう…! っ…、…ほら大丈夫でしょ?」
「っていうかその構えてるデバイスは何?!」
「でも撃たなかったよ?」
「ギリギリで耐えてたじゃない…! ものすごい魔力集束してたし!」
「…さてはフェイトちゃん、友達作りたくないんじゃなくて…作れないんでしょ?」
「そっ…そんなことない…」
「本当にー? じゃあわたしのこと友達にしてみてよ」
「いいよ、そこまで言うんなら友達でも何でもしてあげ…なんて言うと思った? その手には乗らないから…!」
「…ちぇっ。ねえ、すごく簡単だよ? 友達になろう…?」
「だから無理だってば」
「うーっ…このままじゃ平行線だね…。…そうだ、多数決で決めよう!」
「はあっ?」
「フェイトちゃんと友達になりたい人ー? はーいっ! わたしと友達になりたくない人ー?」
「…はい」
「だめかー、1対1かぁ…」
「あたりまえじゃない! …えっ? もしかして頭の弱い子?」
「ホントのホントにお願い! 友達になってくれるまで…ここを一歩も動かないでね?」
「…バインド?! い、いつの間にっ? …アルフ聞こえる? バインドブレイクを!」
「あっ、アルフさんお気遣いなく~」
「気遣いじゃなくって…! このまま捕まるわけにはいかないからブレイクしてもらうの…!」
「ブレイクごときでわたしたちの友情が壊せると思ったら大間違いだよ?」
「壊すも何も最初から築いてないから! …きみはストーカーなの?」
「確実にそうとは言いきれないけど…」
「多少は自覚してる?! ほ、本当に悪魔みたいな性格だね…」
「なんですってえええ! よくもわたしのこと悪魔って…うああああーっ!!(SLB」
「撃ったー!! ほら撃った! やっぱり裏切るんだ! 友達なんか絶対いやだ…!」
「ちがうのっ、今のはつい条件反射で…! もう大丈夫だから」
「大丈夫じゃないっ! 次やったらこっちも反撃するからね…?!」
「…いいよ? フェイトちゃんの全力の一撃…わたしが全部受けきるから♪」
「しかもMとかー! もうダメだこの子…」
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