よしの「ばらのやかたいってくる!」
令「元気ねよしのは……。避暑地であれだけ暴れ回ったのに」
よしの「れーちゃんこそだらしない! おんなはどきょう!」
令「ふむ……。よしのー、今日は疲れてるから、夜はその……ゴメンね?」
よしの「?! それどきょう?!」
令「うん。断るのも度胸」
よしの「……」
令「……」
よしの「…………」
令「じょ、冗談よ」
よしの「! れーちゃん!」
令「……はあ、私ってつくづく甘いなあ」
よしの「でなー、はれはれおどったんだー。でぃーぶいでぃーにはいってるちゃんとしたやつだ! なー?」
祐巳「ねーっ」
よしの「パーティーバキバキにぶっこわしてしゅーりょー! ……って」
志摩子「……」
よしの「しまこなにしてる? なつやすみなのにそんなまじめくさって」
志摩子「仕事よ。山百合会の」
よしの「しごとってなに?」
祐巳「何ーっ! いやいや、よしのさんだってわかるでしょ? 私たち、学園祭の準備のために夏休みも学校に来ているんだから」
よしの「がくえんさいか! おもしろそー!」
志摩子「事務作業ばかりだし、仕事自体が面白いというわけではないけれど」
よしの「でも、しまこおもしろそーにしごとしてたぞ?」
志摩子「え、そんなつもりは……。でも不真面目に見えたらいけないわね。わかったわ、もっと面白そうじゃない顔で仕事してみるから」
祐巳「えっ? ちょっ、志摩子さん、なんで自分にそんな無茶なハードルを」
志摩子「……」
カリカリカリカリ……。
志摩子「……。……。…………」
祐巳「いや、そんな黙々と! なんかオーラ出てるって!」
よしの「あはははは! すげーかお! しまこだけはガチ!」
志摩子「あの……もう少し静にしてくださる? 憐れな子羊が集中できないわ」
よしの「プフーッ! こひつじだってー!」
祐巳「よしのさんだって前に子羊って言ってたくせに……」
よしの「あははははは、あはははは!」
ガタガタッ、ガシャン……バシャッ!
祐巳「あっ! 紅茶がこぼれて書類にかかっちゃった」
志摩子「……。よしのさん、ちょっといいかしら……?(ゆらぁり)」
よしの「!!」
祐巳「……え、えーと。志摩子さんファンにはとても見せられない映像なのでカットします♪」
よしの「そうか……、よしのにもがくえんさいのしごとがあったか。よしのなにしたらいい?」
志摩子「今日はもう仕事は残っていないわね」
よしの「そんなことないだろ?!」
祐巳「よしのさんにできることといったら……、山百合会主催の出し物なんてどうかな?」
よしの「だしもの? しゅさいの……だしもの」
志摩子「ええそう。私はパンダのぬいぐる」
祐巳「! 必殺消しゴムつぶて!(ビシッ)」
志摩子「いたっ。……あっ、その、客寄せパンダみたいなことを……」
よしの「きゃくよせ……ってなにする?」
祐巳「私たちでイベントを企画してお客さんを集めて、学園祭を盛り上げようってこと」
よしの「ほー……、ほー?」
祐巳「そうだなあ。例えばこのポスター。お姉さまが主演でシンデレラの劇をすることになったんだー。……つまりそういうこと。わかる?」
よしの「……。わかった!」
祐巳「だからよしのさんも、何か出し物を考えたらいいと思うよ。リサイタルでも何でも」
よしの「……リサイタル! よしのうたう!」
志摩子「歌うの?」
よしの「やっぱりうたわない! はつねミクにうたわせる!」
志摩子「どなた?」
祐巳「(更新休んでいる間にネタは随分進んだなあ……)」
蓉子&祥子「いらないもの?」
祥子「黄薔薇さまはいらない子よね」
蓉子「いやそういうのはいい。というか祥子言うようになったわね」
祥子「……事実を申し上げたまでです」
蓉子「それで、よしのちゃん。いらないものって何でもいいの? 飲みかけのいちご牛乳でも。これあまりおいしくなかったから」
よしの「いいぞ! よこせ!」
祥子「いいの? それなら私はこの梅干しを」
蓉子「弁当残すなよ。あなた相変わらず偏食なのね」
よしの「どんどんくれ! リサイタルだから!」
祥子「えっ、リサイタル? リサイタルなの?!」
蓉子「そうか……だったらこれをあげましょう。ピンクのベビードールだけど」
よしの「わー、エロカワイイー。ステージいしょうにぴったりな?」
蓉子「ネグリジェ派になった祥子には必要ないものよ」
祥子「ってそれ私の寝間着ですの?! なぜお姉さまが持っているんです! しかもなぜそんなことまで知っているのかと!」
よしの「さちこはスケスケランジェリーだけじゃなくスケスケパジャマもすきなー?」
祥子「ううっ、またよしのちゃんに揺すられるネタが増えてしまった……」
聖&静「いらないもの?」
静「藤堂志摩子は邪魔な存在よね……」
聖「いやロサ・カニーナ、そういうのはいいから」
静「静、と呼んでくださいませんの?」
聖「きみは腹黒だ……静」
静「ああ、白薔薇さま……!」
よしの「なにをちちくりあっとんじゃー!」
聖「はい、すみません」
静「私はこのメトロノームをあげる。調子悪くなってきたから捨てようと思っていたの」
よしの「ゲットだぜ!」
静「歌の練習くらいになら、まだ使えるから」
聖「よしのちゃんのリサイタルかあ。どんな歌を歌うの?」
よしの「わたしのきもち、しっかりうけとめなさい? ばーかばーかばーか! うちのはたけをあらすなー!」
聖「……それはCDだけど明らかに歌じゃないよね」
よしの「れーちゃんにうたってあげるとむしろよろこぶ!」
聖「プレイの話かい」
静「まあ、令さんとはそういう関係だったの? よしのさんって意外と……なのね」
祐巳「……」
志摩子「……」
よしの「あつまったー!」
祐巳「いやいや、こんな使えなさそうなものばかり集めて、どうするの?」
よしの「うーん……。これをこうして、こっちと……、こうじゃなくて」
志摩子「祥子さま、こんな薄い格好で寝て寒くないのかしら」
祐巳「ええっ?! そのベビードールお姉さまのなの?!(鼻血)」
よしの「……そうだ! さいほうセットあるか?」
祐巳「うん。はいどうぞ」
ちくちくちく……キュッ。チョキン。
よしの「できたーー!」
志摩子「こ、これが……、ステージ衣装……?」
祐巳「うん。……よしのさんに期待した私がばかだったよ!」
よしの「れーちゃんにみせてくる!」
よしの「れーちゃーん!」
令「ん……?」
よしの「じゃーん」
令「ちょっ、なにそのワイセツ物陳列罪スレスレの格好は」
よしの「リサイタルです! よしのうたいます!」
令「リサイタルなんだ?」
よしの「さちこのあられもないふくが、りっぱなステージいしょうにうまれかわりました」
令「立派かどうかさておいて。その衣装でいったいどんな歌を……」
よしの「まずはこのうめぼしをたべる!」
令「は?」
よしの「うーっていうこわいかおになる! シリアスなうたや、えんかのときにつかう」
令「って小道具かい。ということはシリアスな歌なの?」
よしの「ちがう。……ちょっとのどがかわいたときにもたべる」
令「ふうん。それじゃ歌ってみてよ」
よしの「おう! それではうたっていただきましょう、しまづよしの……」
カチ、カチ、カチ。
よしの「?!」
令「ああ、そのメトロノームが鳴りだしたのね」
よしの「うるさい!(ガシャン)」
令「投げないの! ……というか、むしろ今のリズムに合わせて歌うべきなんじゃ」
よしの「あー、よしののペースみだされた! よしのいまやられちゃったきぶんだなー!」
令「え……?」
よしの「そんなときはこのいちごぎゅうにゅうをつかう。うちももにたらして……(たらり)」
令「な、なんでそんな場所にいちご牛乳を」
よしの「……けがされたー」
令「ちょっと待てーい。だいたい何のステージなのこれは」
よしの「んー……セクシーけい?」
令「うん、セクシーと下ネタは違うからね? とりあえずじっとしてて。拭くもの取ってくるから」
よしの「あんずるな! うしろにウェットティッシュがある。それをつかえ」
令「どれどれ……本当だ、袋が縫いつけてある。って、背中のは自分で取れないんじゃ……?」
よしの「ふつうのティッシュよりもウェットティッシュのほうがいいな?」
令「え? うん、確かにそうね」
よしの「あれをふいてもくっつかないし」
令「……それは私にどういうつっこみを期待しているわけ? はい拭いたよ」
よしの「ごくろう。それではあらためてうたいます、しまづよしので……」
カチ、カチ、カチ。
よしの「またかよ!(ガシャン)」
令「あんたもまた投げんなよ!」
よしの「もー! やってられないんだからー!」
たらり。
よしの「けがされたー」
令「……」