[なぞ] 2011/04/23

虚空に向かってひとり口ずさんでいただけだった愚かさに気づいたときの恥ずかしさと言ったら。

テキストエディタに筆を落とした瞬間から、それはもう一番書きたいものではなくなっている。
雑念がひり出されるだけ。だから産み落とされたものに息吹はなくて。排泄か、はたまた堕胎か。
余計なものを削ぎ落としたら洗練されるはずだった。実際は余計なものだらけ。本質は生き埋めに。
一般に不純を疑われるものを隠しただけ。突然の来客に慌てて押し入れに全部放り込むような。
それでも、世界の半分を闇に包んだことにしかならなくて。昼の顔があぶり出されたに過ぎない。
こんなにもページが費やされていたことに嘆息する。たった一度、善意をちらつかせたばかりに。
似合わないことをするから。身の丈に合わないことを。全てを諦めさせる魔法の言葉がちらつく。
結局そうなんだ。これは失恋の話。そもそもが間違っていた愚行の、忌憚ない奇譚の積み重なり。

バランサーを演じているつもりはないのだけれど。同じ枚数ずつ手札を残すタイプということか。
自分だって独占欲や、恵まれた才能や環境への嫉妬くらいは抱く。人並みかあるいはそれ以上に。
下手を打っているんだろう。同じようなスケールでもメリットを得ている者がある一方で。とか。
そして、線引きの内と外を取り違える。気づかなかった振りをして今日もすっとぼけて見せる。
自分の知らないところで自分の情報が飛び交っているのが怖くて。統制下に置いておきたくて。
知られているのだろう。心を閉ざしていること。漏らしていること。本当は、恋していることを。
だから矢面に立ちたがらない。誰のことも擁護しない。無関心な素振りが、やがて真の無関心に。
その対象に、やがて自己すら包含する。あんなに自分大好き人間だったのにプロフも埋められない。

何気ない会話のやりとりに目を細める。素直に応援したくなる、そんな出会いもあることを知った。
いい人ぶっているつもりはなく、ぼくはただ、好きな人たちが幸せであってほしいと願っている。
生きれば生きるほど、ふれあえばふれあうほど、祈りは尽きない。本当に減らないのか、と憂えて。
そんなふうに疎んじることが、そもそもの軽率さを浮き彫りにしていることにさえ気づかずに。
考え事ばかりで頭がいっぱいだ、と言ったところで結論が出ないのであればそれは空転と同値で。
譲りあいの精神は素晴らしいだろう。道徳的だろう。結果、譲れないものまで手放していたんだと。
じゃあ今やっていることは何だ。交流ではなく直流かと。電荷、電脳なる負荷を垂れ流すだけの。
慎重にいきすぎているんだろう。失敗を許さない、真なる芯の弱さ。適齢期を逃しても、なお。

出会いがあった。再会があった。それはしかし「これからはひとりじゃない」ことを何も確約しない。

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