きみがその人だったんだ。代理人でも交渉人でもなく。それも、今さら気づいたところで。
鐘が鳴ったら始まりの合図だって、そう思っていた。けれど実際はフライングばかりで。
凍える地に舞い降りた羽を、この手で受け止められなかった。再開に、再会できなかった。
気づいてあげられなかった、なんて言い回しがそもそも卑怯だ。自分を被害者みたいに。
ギブアンドテイクの間柄。両者合意の下でのトレードは履行されなかった。ただその一点。
みんな、考えることは一緒で。風をつかんで大空を舞う術も。誰かと友達になる方法も。
だから、思っちゃいけない。自分が誰よりも知っているなんて。きみを、見ているなんて。
ましてや自分だけのものにしたいなんて。最低限口にしてはいけない、ルールを破った。
なんでだろう。ぼくだって同じ人なのに。どうして平気で、人に無関心になれるんだろう。
届くことはないけれど。きっと声は届かないけれど。小さな小さなごめんなさいの言葉。
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