[なぞ] 2009/02/14

どこにも行かない。

喉の奥の魚の小骨のように、ずっと心に引っかかっている言葉がある。
あれはファンタジーだったのかもしれない。最初から、夢だったのかもしれない。
あるいは、夢であってほしかったというぼくの感情なのだろうか。感傷なのだろうか。
結局、ありもしない約束に縛られて。手放せなくなっていた。戻れなくなっていた。

人に愛されたいと願うことも、人を愛したいと望むことも、そもそもがおこがましくて。

それからは、いかに感情を殺すかとの闘いだったような気がする。
どこにいても居心地が悪くて。ここにいちゃいけないような強迫観念にばかり駆られて。
自らを蔑み、虐げるだけの日々。真実という贅肉が、すべて削ぎ落とされるくらいには。
だから知らなかった。もっとシンプルな考え方があること。生き方が、あること。

抗っているつもりで流されていた。疎んでいるつもりでどこかで許していた。

気の遠くなるような歳月を経て、やっと思いを伝えられる。ひとつになろう、と。
何も変わらないのだから。表も裏もない、たったひとつの年表の、その先もきっと。
ここまでが終わりでここからが始まり、なんてボーダーはどこにもないのだから。
たとえぼくが最後の一人になっても、ぼくだけは。見放すことなく、そばにいるから。

誰もいない世界でも。

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