[なのはSS] After afternoon tea

「あっ……あたしも後片づけ手伝うわ」
「ありがとう。でも大丈夫だよアリサちゃん。後はファリンがしてくれるから」
「そ、そう。――その、何ていうか…」
「なのはちゃんたちの話?」
「……ええ、まあね。っていうか…すずか落ち着きすぎ! もうちょっと驚きなさいよ…!」
「もちろんびっくりしたよ。…だけど、アリサちゃんも何となく気づいてたんじゃない?」
「なっ、何がよ……」
「なのはちゃんがずっと一人で何かに立ち向かってたこと、とか。フェイトちゃんがただの留学生じゃなさそうだぞ、とか。はやてちゃんのご家族が――」
「あーもう十分! それくらい当然察してたわよ。……けど、魔法なんて言葉が飛び出すとは思ってもみなかったから」
「…信じてあげないの?」
「信じるに決まってるでしょ! あ、あの三人がウソつくわけないじゃない…」
「だったら……アリサちゃんは何をそんなにカリカリしてるのかな」
「だからすずかがぼんやりしすぎなんだってば! もぉーっ、これからどうしたらいいのよーっ」
「どうしたら…って? どうもしなくていいと思うけど?」
「だって……! あの子たちまどう…なんて言ったっけ、とにかく魔法使いなのよ?! 明日からどんな顔して…」
「――アリサちゃん」
「うっ。…何よ」
「考えてみて……? なのはちゃんたちが今日、どうして秘密を打ち明けてくれたのか」
「どうしてって…。そりゃあ、今まで隠し事してて気まずかったから……」
「それも多分あるけど。わたしは…もう一つあると思う」
「…言ってみなさいよ」
「うん。わたしたちに、これからも変わらず友達でいてほしかったから…じゃないかな」
「……あ、当たり前じゃないそんなこと! わざわざお願いされるまでもないわ…!」
「だったら――、何にも変わらないよ。明日からも今までどおり。…ね?」
「え、ええ……。……なんか、すずかって大人よね。若くして人が出来てるというか…」
「そんなことないよ…。なのはちゃんやフェイトちゃん、それにはやてちゃん。大切な人に悲しんでほしくないだけ」
「その考え方が大人だって言ってんの。みんな知ってるから、すずかは優しくて友達思いで――」

「違うもんっ! わたし、みんなが思ってるようないい子じゃない……!」

「なっ…えっ、なに? いきなりどうしたわけ…?!」
「聞きたくてしかたなかった…! はやてちゃんの体のこと、『本当の』ご家族のこと。なのはちゃんたちが出会ったきっかけ、フェイトちゃんの生い立ち――。気になってたの、前からずっと…」
「ちょっ、すずか何言って……」
「だけど聞かれたくないこともあるかもって……だから何にも気づかないふりして、興味ないふりして…、本音を隠してた。みんなの前でいい子にしてただけ。自分にうそついて……っ」
「落ち着きなさいよ…! 友達に興味持つの、知りたいって思うの普通のことでしょ?! すずかがそんな自分のこと悪く言う必要なんか全然ないじゃない、なのになんで…」
「だって……! 何かおかしいって…みんなのこと変な目でっ…。わたしなんか合わせる顔が」
「――すずか!」
「…ひうっ」
「顔上げて。……まぁ、すずかほどじゃないにしても…あたしだって自称友達思いなわけよ」
「……?」
「だから一言だけ忠告。…これ以上“あたしの友達”の悪口言ったら許さないんだから」
「あ……っ…。うん…ごめんね。ありがとう、アリサちゃん」
「…べっ、別に。だいたい…すずかがずっと知りたかったことって、さっき聞けたんでしょ?」
「そうだね。みんな本人たちから話してくれたから……今すごくスッキリした気分」
「そ。だったら何も問題なし、ってことで。これで明日からも今までどおり…よねっ?」
「…ふふっ。うんっ!」

 

「……っていうか一番驚いたのは、なのはたちの正体よりもユーノの正体なんだけど!」
「あはは、それは言えてる。人間の男の子だったなんてね」
「そうとは知らず、あたしフェレットユーノにあんなことやこんなこと…! あー思い出したら頭にきたっ! あいつ呼び出してお仕置きしてやるんだから!!」
「うーん……ユーノくんも理由があって変身してたんだし…、まあほどほどにね?」

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