[なのはSS] 初想い

「……わたしな、気になってる子がおって」
「まあ、それはそれは……。はやてちゃんも女の子ですね~」
「なんやシャマル? 急にそないニヤニヤして」
「だって、好きな男の子の話でしょ? もううれしはずかしじゃないですか」
「? ちゃうで? わたしが言うたんは女の子や」
「え……? あ、そ、そうなんですか?」
「シャマル……なんか誤解してるんと違う?」
「いっ、いえいえ、そんなことは……あはは」
「よく一緒に図書館行くやんか、そこで見かける子なんやけどな。シャマルも見覚えない? ほら、髪が長くていっつもヘアバンドしてる」
「どうだったかしら……。ええと、ちょっと記憶には」
「そんなことあるか? かわいい制服やから目立ってたし、同い年ぐらいなのにえらい雰囲気が大人で、でも顔つきは幼くて笑たらきっと……」
「あの……はやてちゃん?」
「はっ! い、今のは聞かんかったことにして……!」
「あらあら。はやてちゃんが照れるなんて珍しい。よっぽどお気に入りなんですね」
「あかん、どないしよ、まだ顔熱いわ……。シャマル、みんなには内緒にしてな?」
「ふふっ、はい、ご心配なく」
「けど……。その子と仲ようなりたいって思てるんはほんまや」
「ええ」
「あの制服、私立の小学校やろか。どんな学校なんやろ、話聞いてみたい……」
「学校の話ですか、いいですね。お友達になったら、きっとたくさん教えてくれますよ」
「そうは言うても、きっかけがないし」
「思いきって声かけてみたらどうです? 案外、その子もはやてちゃんのこと気にしているかもしれませんよ?」
「そやったら嬉しいけど、な。でもわたしこんな体やし。こっちが車椅子やったら、向こうは絶対気い遣う思う。そういうんは嫌なんよ」
「大丈夫ですよ、きっと。はやてちゃんがそれほど気にかけてる子なら、優しい心の持ち主に決まってます」
「そうやろか……」
「私には見えるんです。その女の子がはやてちゃんとお友達になって、そこからさらに多くの出会いが生まれて、世界がひろがっていく……。そんな未来が」
「あはは、なんなん? それもシャマルの魔法?」
「いいえ……何となく、ただそんな予感がするだけです。そうなったらいいなっていう私の希望も込みですかね」
「なーんや、思わせぶりなこと言うて。そんでも……、シャマルがそない言うんならもうちょい頑張って……みよう」
「ん? 何をです?」
「……治療。足の治療や。友達作るんなら、少しでもよくなった方がええやろ?」
「は、はい! そうですよ、その意気です。私たちもできる限りお手伝いしますから」
「うん、ありがとうな」
「何と言っても、はやてちゃんの初恋ですからね~。応援しちゃいます」
「もう! せやからそんなんとちゃうって……!」

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