三者面談
柏木「祐巳ちゃんは、お父さんとお母さんどっちが好き？」
可南子「あんな人、父親じゃありません」
柏木「なんでいるんだあんた！」
柏木「祐巳ちゃんは、お父さんとお母さんどっちが好き？」
由乃「令ちゃん！ 令ちゃんが一番！」
柏木「なんでいるんだあんたも！」
柏木「祐巳ちゃんは、お父さんとお母さんどっちが好き？」
しま父「志摩子の父です。娘がいつもお世話になっております」
柏木「なんでいるんだあんたら！！」
祐巳「わ……私はなんで出番ないの？」
豪邸ってやつ？
祐巳「『小笠原』って……やっぱりここは祥子さまの？」
聖「あったりー。どう、祐巳ちゃん。嬉しい？」
祐巳「ひどいっ、白薔薇さまの嘘つきっ」
聖「祥子は私の知り合いでしょ？ 嘘ついていないじゃない」
祐巳「絶対わざとぼやかして言ったとしか思えないんですが……」
聖「それに、祥子が連れてきてって言ってたよ。君たちって、押しが足りないところだけは似てるよね」
祐巳「はあ……。それにしても、本当に立派なお屋敷ですね」
聖「やっぱりそう思う？ そうでしょー。ふふん♪」
祐巳「……どうして白薔薇さまが自慢げなんですか」
聖「そりゃ、私は以前にも来たことあるからね」
祐巳「ふーん」
聖「もう去年の夏ってことになるのか。遊びにきましたよ。って、面白くない？」
祐巳「べつに、私が妹になる前のことですし」
聖「まあ、だから私には勝手知ったる他人の家、ってわけ。いいでしょー」
祐巳「いや、だからどうしてそこで白薔薇さまが自慢げになるのか、そこが気になるんですが」
よく晴れたなあ
祐巳「フォークダンスだ。お姉さま、私たちも踊りましょうよ」
祥子「え、でも。恥ずかしいわよそんなの」
祐巳「楽しいですよきっと。腹ごなしに、ね？」
祥子「腹ごなし……そうね。食後の運動なんて普段はしないものね。ダイエットと思うことにするわ」
祐巳「そうですよそうですよ。まあ私は全然太ってませんけどね」
祥子「まて、私はって言ったな？」
祐巳さんって意外と……なのね
志摩子「乃梨子、いいからその冊子を戻してちょうだい」
乃梨子「はい」
祐巳「あれ？ その本、ちょっと違わない？」
乃梨子「お気づきになりました？ 今年の本じゃないんですよ」
志摩子「これ、すべて桜組の由来について書かれているの。興味深いでしょ」
祐巳「……うん、確かに。でも、それよりも今はお姉さまを見つけないと」
乃梨子「まあまあ、そうおっしゃらずに。少し読んでいかれては」
志摩子「きっと面白いと思うわ。この高等部に代々伝わる桜組伝説によれば」
祐巳「伝説なんかねえよ」
乃梨子「うわ！ リリアンの歴史を全否定しちゃったよこの人！」
虫に好かれるタイプ
みき「……あっ」
安美「どうしたの、みきさん」
みき「いたたた……、ほ、ほら……、ときどき、目の中に……む、虫が、入るでしょ……？ それをね……、つ、追跡中なの……ううっ」
安美「い、いや、そんな無理して涙ながらに伝えてくれなくていいしね？ っていうか追跡中って何やってんの！ さっさと洗い流しなさい！」
花の都は肉の街
蔦子「いや参ったわね。夕食があんなに量が多かったなんて」
祐巳「ううー、おなかが苦しいー」
由乃「もう動けないかも……」
真美「みんな本当よく食べたわね」
志摩子「あーーー」
真美「志摩子さんも？！」
ウァレンティーヌスのまめちしき
祥子「私にしてみれば、チョコレートを学校に持ってくること自体が疑問だわ」
祐巳「（え……？）」
祥子「二月十四日には、また学校中が一日中チョコレートの匂いで充満するかと思うと今からげんなりしてしまう」
祐巳「（お姉さま、もしかしてチョコレートお嫌いなのかな。ということは、バレンタインデーに渡すっていう私の計画も無駄っていうことに……）」
祥子「だいたいチョコレートって、ガムと一緒になめるとガムが溶けるから気にくわないわ」
祐巳「（お、お姉さま？！ まさかそんな理由で？！ ひょっとして意外にもチャレンジャー？！）」
誰もが思いついたネタ
パンダの着ぐるみに抱きつく祥子。
祥子「よかった、……祐巳！」
柏木「（カポッ） いや、僕だけど？」
祥子「ウソだ――！！」
祥子「よかった、……祐巳！」
高田「（カポッ） はいっ、好物は鶏のササミとプロテインですっ」
祥子「もっとウソだ――！！」
祥子「よかった、……祐巳！」
しま父「（カポッ） 好きとか嫌いはいい、アスパラを食べるんだ」
祥子「さらにウソだ――！！ ていうか誰なのこの人？！」
祐巳「お姉さま……、信じてたのに……しくしく」
